平成28年10月7日/東京地方裁判所/平成27年(ワ)第16389号

平成28年10月7日/東京地方裁判所/平成27年(ワ)第16389号

→ 判決全文と弁護士原口圭介のコメント(PDF)

【ケース】

鶏の唐揚げを喉に詰まらせて窒息し、死亡したケース。

【結論】

原告(利用者側)の損害賠償請求は認められませんでした。

【サービス】

デイサービス(合同会社)

【利用者】

59歳。男性。
要介護4。
脳梗塞により左半身麻痺で身体障害1級。咀嚼困難あり。

【予見可能性と結果回避義務違反】

鶏の唐揚げを喉に詰まらせること(誤嚥)の具体的な予見可能性はなかったと認定されました。

(理由)
① 本人・家族・主治医から誤嚥のリスクについての情報提供はない

② 「通所介護アセスメント表」に誤嚥のリスクについての記載はない。

③ 本人は、本件事故当日に初めて本件施設を利用したもので、被告(事業者側)に誤嚥のリスクについての情報はない。

【備考】

事故前後の被告(事業者側)の対応は適切だったとしています。

(理由)
① 唐揚げは小ぶりだった。

② 3名の職員が食事を見守っていた。

③ 本人がむせてせき込み始めた後も、背部叩打法、119番通報、気道確保を行っていた。

【教訓】

サービス利用初日で、誤嚥のリスクについて何の情報提供もなかったなかですので、被告(事業者側)に責任がないと判断されたのは妥当であったと思います。